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肝心のサイトとのやり取りはというと、この女子高生は「おまじない」と称した運び屋をやらされていたようである。最初は他愛ない普通のおまじないのようなものだったが、少しずつ内容が変わっていっており、最終的には日時と場所の指定がされそこにある物をどこの誰に渡すようにという指示があった。いきなりそんな事を言われたらおかしいとわかるだろうが、少しずつ違和感なく変化していっているのが巧妙な手口だ。
そして一度中身を見たのだろう、友人達との連絡でとんでもない事になったという内容が残っていた。
まさかこんな物を運ばされていたなんて、と書かれているが結局友人にも何を運んでいるのか教えてはいなかった。友人達の何を運んだのかという問いにはバレれば捕まる、怖いといった内容だった。
(拳銃や麻薬じゃねえな、今時そんなもんでビビらない。怖いとなると大量の金か、それとも……)
そこまで考えると戸波からの走り書きが記されている。そこにはこの携帯で当事何を検索していたかのキーワードがいくつか記されていた。その単語にわずかに目を細める。
そこからは女子高生の情緒不安定な記録が残っている。サイトには連絡をしようとしたが返事が来ない。友人達にはどうしよう、どうすればいいという相談をしていると、他の友人達から実は自分もこういう事をしろと言われたと逆に不安を増長してしまう答えが続々と出てきている。友人達全員が脅えていたようだ。
自分達はとんでもないことに足を突っ込んだのではないか、という事にようやく気づいたがどうする事もできない。相手は目に見えないしサイトは素人である自分たちでは調べようがない、警察に言えば自分達の行ったことがバレてしまう。
そもそも未成年である自分達にできる事というのは少ない。何かやろうとするなら必ず保護者が必要となる。それには親に言わなければいけないが、無論言えるはずがないというやり取りが残っていた。
いくつかお互いを慰めあう言葉をかけながら過ごしていたようだが、最後の友人達との連絡の会話はこうだった。
どうして、なんで?
ここまでやったのに、なんで
おかいしよ、話が違う
私何のためにあんな事やったの
もういやだ
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