恋占い

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 数日後、口座には調査料が全額支払われこの件はこれで終了となった。それを確認した小杉は小さくため息をつく。その様子を見ていた一華が頬杖をつきながらぼやいた。 『ここまでわかったのに、これで終わりですもんね。死んだ娘の立場としてはちょっと悲しいなあ』  年も近く死んでいるという共通点から一華は自殺した子に同情しているようだ。  結局あれから夫の方から電話で連絡があり、この事は警察に相談してみるので調査はこれで終わりにして欲しいという事だった。依頼者からの正式な決定なので無論中嶋はそれに従う。 「絶対警察になんざ言わねえなこりゃ」 『え? どうしてですか?』 「話した雰囲気からの勘だが、娘が犯罪に加担してたって事実を公表したくないんだよこの父親は。良い子ちゃんだった娘の行動が信じられなくて動揺してるのか、そんな事警察に言ってニュースにでもなって自分の周囲にバレるのが嫌なのかはわからないけどな」  内心後者だろうなあとは思う。電話の会話からは悲しい雰囲気や落ち込んだ様子はない。妻と同じように少々動揺したような落ち着かない雰囲気だった。 『娘が死んでるのにそんな事するんですか……』  納得いかないというような一華の態度に中嶋は鼻で笑いながら言った。 「世の中の親子ってのはその程度の関係な連中がいるもんだ。この親も娘の良い子ちゃんなとこしか見てない、つーかそこしか認めてない上っ面だけの家族愛だったって事だろ。それに医者ってのは周囲との信頼関係が大事な仕事だ。バリバリの仕事人間ならそっちを優先させてもおかしくない。子供は子作りすりゃまた産まれてくるが、地位や信頼ってのは一度崩れると取り返しがつかないからな」 『……そういうもん、デスカ……よくわかんない』 「それがわからないっていうのは正しいことだよ一華ちゃん。家族の仲が良かったって事」  隣から小杉が微笑んでそう言うと、一華は小さく頷く。いつだったか中嶋が家族仲が悪いと言っていたし、おそらく小杉も家族と呼べる者がいないと思われる。この二人には今回の件すんなり受け入れられる事態のようで、少し悲しい気もした。  眉をハの字にしてやや落ち込んでいるようにも見える一華に、小杉が小さく笑って言う。 「亡くなったお嬢さんの事なら心配ないよ、ちゃんと成仏したから」 『え?』  目を丸くする一華に優しく微笑みかけ、小杉は昨日あった事を話した。
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