恋占い

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「言いたいことはわかりますよサトさん。でも今回は佐藤さんの指示なんです」 「は? いつ連絡取ったんだ」 「昨日電話貰って、業務報告のついでに指示を仰いだらそうしろと言われたのでそのまま行ってきました。たぶん、まだ話せばわかってくれるレベルだって踏んだんでしょうね」 「俺が連絡する時は出ないくせになんで俺がいない時連絡してくるんだ」  いつもそうだ。報告は事後になり指示を仰ぎたい時はだいたい連絡がつかない。そのくせまるで影から見ているかのようなタイミングで絶妙な時にあれこれ置いていったりメッセージを残したりする。 「そうそう、本当はサトさんに連絡があってかけてきたんです。後でメールするって言ってました。今日メール見ましたか?」 「タイトルが見合い写真送りますっつー迷惑メールなら来てたから見ないで消した」 『業務にまったく関係ない……』 「ここはもう諦めてお嫁さん二号を探してはどうでしょう。サトさんだって今年二十八でしょ、早くしないとあっという間に中年ですよ。中年になったらご縁なんて少なくなりますよ? お金目的でしか近づいてもらえなくなりますよ。寂しいですよ中年の独り身は。世の女性にその年になってまだひとりとかヤダーって蔑まれる対象ですよ」 「俺に言わないでまず所長に言えよ、アレだって独り身だろうが。なんで寄ってたかって俺だけに言うんだ」  ビキっと青筋を立てて睨みながら言えば小杉は仕事仕事と言いつつ慌てて自分のデスクに戻る。 『他にも言われたんですか?』 「この間清水さんに孫の写真見せられながら結婚はいいもんだよって延々言われて荒川にはお相手いないのかと聞かれた。めんどくさいからいないじゃなくていらんって答えておいた」 『枯れすぎでしょサトちゃん……』  しみじみ言われフンと小さく息をつき、この話題はもうこれで終わりとでも言うようにパソコンへと向かった。メールを立ち上げると戸波からメールが来ている。基本的に不規則な生活の者が多いので業務連絡はすべてメールとなっている。タイトルは「追加情報」だ。  父親からの依頼終了の件はまだ報告していないので戸波は今回の件が終わったと知らない。あれだけでは足りないだろうとその後調べた事を送ってくれたようだ。  というより、あまりに今回退屈な内容だったので自分から細部に首をつっこんだような印象もあるが。
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