お祭り前夜の6時間

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 「まずはひと通りおみせをみましょうね。その間にパパがきてくれるかもしれないから。」  「うん!」  真由美と奈津子はどんどんと歩いてゆく。 「ママ―、見てみて!お面やさんがある!」  そこは昨日、俺が立ち止まったお面やさんじゃないか。 「いらっしゃい。おひとついかが?」  昨日のおじいさんが、真由美と奈津子に話かける。二人はいろんなお面に気を取られて、あれこれと話しをしている。  おじいさんは、奈津子の頭の上の俺を見て、小声で話しかけてきた。 「昨日のお方ですね。6時間経って起きなかったんですね。・・・私には、キティちゃんではなく、あなたの顔のお面に見えますよ。」  何だって!俺はやっぱりお面になってしまったのか!  昨日の過去の顔が並んだお面コーナーが目に浮かぶ。そんな、まさか!  どうしたら元に戻れるんだ! 「ママ、このお面つけたい!キティちゃん、一回、外していい?」  奈津子が手に取ったのは、ミッキーマウスのお面。  奈津子は、編み上げにして凝った髪型だった。その上にピンで留められていた俺を奈津子は自分の手で無理やりはがそうとした。
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