お祭り前夜の6時間

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「なっちゃん、ママがはずしてあげるから、そんなに乱暴にしないで!せっかくの髪型が乱れちゃう!」  その時!  ピキッという音と同時にお面が半分に割れた。 「おやおや、大事なお面が割れちゃったね。」  なぜか微笑んでいるおじいさんの声を聞くと同時に、俺はあまりの痛みに気を失った。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  ピロリロリン、ピロリロリン、・・・・・。  さっきから記憶のどこかで、スマホの読み出し音が何回も鳴っている。  俺は無造作に手を差し伸べて、音のあたりにあるスマホを手に取った。 「あなた!今どこにいるの?早くお祭りに来てよ!」  真由美の声がする。  俺は慌てて飛び起きた。  そこは俺の寝室だった。  戻れた!?  あれは夢だったのか! 「わかった!すぐ行く!今どこにいる?」 「歩き疲れたから、お面やさんの前の焼きそばやさんに入っているわ。」  俺は一目散で走りだした。  神社の鳥居が見えてくる。  確か一番奥に・・・  果たしてそこには、焼きそばやさんがあった。  その向かいでは、おじいさんがお面を片付けているところだった。  息を切らして走ってきた俺に、おじいさんはにこやかに話かけてきた。
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