お祭り前夜の6時間

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 金魚すくい、五目焼きそば、ベビーカステラ、たこ焼き・・・赤や黄色の文字が目に入るビニールナイロンの見慣れたテントはほぼ組み立てられていた。店舗ごとの主は、ライトを調整したり、提灯の位置を確認したり、皆大忙しだ。  まずは食べ物と金魚すくいは外せない。偶然にも、入り口近くにそろっているから、これは迷いなし!あとは、妻の好きな綿あめと・・・・。俺は今日来たノルマをクリアしてゆく。  綿あめの屋台を探しに歩を進めてゆくと、一番端にキャラクターのお面の出店があった。  お面は、横一列に20ほど飾られている。吊り下げられたお面の棒は、10段位あるから、壁一面がお面のようになっている。  奈津子の好きなキティちゃんもある。あ、俺が好きだった仮面ライダーシリーズも!  しばらく立ち止まって眺めていた時だった。  お面の影から、一人のおじいさんが出てきた。  「ようこそ、どのお面をお探しで?」  白いひげが顔半分を覆っている仙人のようなおじいさんだ。  「え、いや、見ているだけで・・・。懐かしいお面があるな、と。」
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