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【プロローグ】
『彼女と別れた。会おうよ。』
魁人から連絡があったのは、身を切られるような思いで別れを決心した雷雨の夜から数ヶ月が経った頃だった。
沙楽は、複雑な気持ちで携帯電話の画面を見つめていた。
別れの夜、少し眠そうな表情で運転をする魁人を見ながら、
『このまま事故にあって一緒に死にたい。』
そんな思いすら沙楽の胸を過ぎっていたからである。
それなのに…。
何事もなかったかのように連絡をしてくる魁人のことを恨めしく思った。
だが、その気持ちとは裏腹に、何よりも愛おしく感じる自身の心に抗えずにいた。
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