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帰り支度を終えてもここにいたくて 夕陽だけが教室を満たしていた 私達しかいない秘密の放課後 空になったペットボトル2つ 机に腰かけてた君が立ち上がって 人差し指を口に当てはにかんでる 「内緒だよ?」 控えめに響いたチョークの音 黒板に記されたあの人の名前 恋をしている君の指先までも 綺麗に見えた だから最近前髪を気にしてたんだね いつも私の隣に居続けてくれる 緊張しながら制服の袖を握って 自己紹介をした始業式の日からずっと いつだって大切なんだよ 初めてできた私の親友は 一足先に大人になった気がした 鞄を持って教室を出る 音をたてて揺れるのは お揃いのイニシャルのキーホルダー 恋が叶ったら それでも私と友達でいてね 何があっても駆けつけるから 尽きないお喋りと照れ笑い こんな帰り道の時間が世界で一番尊い 季節を超えてもきっと思い出すよ 今日もやってくる赤いポストの分かれ道 とびきりの笑顔で手を振って 青春はいつもオレンジ色
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