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ピンポーン。
来客を告げる電子音が響く。
「……?」
こんな時間に誰だ。
午後十時を回っているのだから、宅配便の類はあり得ない。
家賃や公共料金の取り立てでもないだろう。そもそも滞納なんかしていないのだから。
ということは、隣上下の部屋からの苦情だろうか。
しかし深夜や早朝に洗濯機や掃除機を稼働したこともないし、隠れてペットを飼ったりもしていない。
大音量で音楽を聴くこともないし、友達と酒を飲んでどんちゃん騒ぎすることもない。
ピンポーン。
訝っている間に二度目の呼び鈴が鳴った。俺は仕方なく立ち上がり、玄関のドアへと向かう。
覗き窓からそっと覗いてみると、扉の向こうにはぽつんと一人の女が立っていた。
「……は?」
何かの冗談か、はたまた幻覚か。ともあれ鍵を回しドアを開ける。
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