1.前夜

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(──あ)  そういえば、カーテンレールにトランクスと靴下を干したままだった。が、今更だと思い直す。  由香理は初めて来たとは思えない、妙に慣れた様子でラグの上にペタリと座った。  こんなとこにいていいのかよとか、旦那はどうしたんだよとか、聞かなきゃいけないことはいろいろあるはずなのに、いざ口を開こうとすると何を聞けばいいのかわからない。  俺はとりあえず、冷蔵庫から缶コーヒーを2本取り出し、微糖の方を由香理に渡した。自分用には無糖だ。 「ありがと」  缶を受け取りながら、由香理は静かに言った。
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