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1.前夜
ふとカレンダーを見上げる。
あえてなんの印もつけなかった明日という日──ずっと幼い頃から一途に想い続けた女が、他の男のものになる日。
結婚式の招待状は、なんの前触れもなくやってきた。
幼馴染の俺ならきっと断らないという確信でもあったのだろうか。
過去、幾度か結婚式には出席してきたが、招待状発送に先駆けて連絡がなかったのは初めてだった。
(出席……してやるべきだったのかな)
数日悩んだ末、結局欠席の返事をしたのだった。
もちろん、とってつけた理由と丁重な謝罪の一言を添えて。
心を押し殺して祝福できるほど、俺は器用じゃない。
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