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そうそう、話をあの恐ろしい実験の開催者たちに戻さなくちゃ。あの連中はぼくも含めて20人程度を集めて、半径3km以内の円状の柵の中に押し込めてしまった。
そこには同じく円形のビジネスホテルみたいな建物がちょうど枠の中におさまるくらいにそびえていた。そして申し訳程度の庭と、屋上のスペースがあった。その狭い空間に20人が一気に押し込められて、共同生活を送ることになったのだ。幸い部屋はちょうど20部屋あった。円形の構造を4つにちょうど割って、それがちょうど5階建て。真ん中に螺旋階段があり、屋上へとつながっている。
食事は最低限のものが最初に支給されていたが、この奇妙な共同生活の仕組みによって後半にはだいぶもの足りないものへとどうしても劣化してしまうようになっていた。
あの正体不明の人たちが提示した仕組みはシンプルなものだったけど、それをいざ実践するにあたっては、とても複雑にものごとを考える必要があった。
“これから日を追うごとに、あなたたちがムダだと思うものをひとつずつ捨てていきなさい。”
彼彼女らの信奉する絶望的にナンセンスな考えの、すべてのムダを省く生活はこの特別なルールに則った体験型ゲームによって目に見えるようになった。
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