1・アンラッキーな日?

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 降り注ぐ陽光のようなあたたかい笑みを浮かべて、その人は挨拶した。 「長ったしい名前で恐縮です。ジュリオでも、ジュリーでも、なんならタロウでも好きに呼んでください」  それから、すっと背筋を伸ばしてオフィスを見回し、「よろしくお願いします」と深々と頭を下げた。  女子社員の漏らしたため息が、小川のせせらぎのようにオフィスを満たしていく。  ジュリアーノって。  普通だったら、悪いけどちょっと笑ってしまいそうな名だけど。  でもこの人には「その名前しかありえないでしょう」って言うほど、よく似合っている。  挨拶は続いていた。 「本社に入社したのは2年前ですが、中途採用なので今年29になります。イタリア人と日本人のダブルでこんな顔してますけど、育ったのは日本なんでイタリア語はまったく話せません」  へえーっと声があがる。  だから、こんなにエキゾチックな容姿なのか。  うん、納得。
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