9・the Very Merry Birthday

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「食べるのがもったいないです。こんな、綺麗なケーキ」 「そんなこと言わないでよ。ひよりがほっぺたを落としそうな顔で食べるのを、楽しみにしてたんだから」  シェフはその場でケーキを切り分け、さらに美しくお皿に盛り付けてくれた。 「少しフライングだけど、誕生日おめでとう」 「こんな素敵な誕生日を過ごすのは、生まれてはじめてです」  わたしがそう言うと、宮沢さんはぞくっとするほど色気を含んだ目でわたしを見つめた。 「これから毎年、こういう日を過ごすんだよ。ひよりの誕生日が、俺たちが付き合いはじめた記念日になるんだから」  ケーキより数十倍甘い、その言葉。  目眩がするほど嬉しかった……
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