1131人が本棚に入れています
本棚に追加
「食べるのがもったいないです。こんな、綺麗なケーキ」
「そんなこと言わないでよ。ひよりがほっぺたを落としそうな顔で食べるのを、楽しみにしてたんだから」
シェフはその場でケーキを切り分け、さらに美しくお皿に盛り付けてくれた。
「少しフライングだけど、誕生日おめでとう」
「こんな素敵な誕生日を過ごすのは、生まれてはじめてです」
わたしがそう言うと、宮沢さんはぞくっとするほど色気を含んだ目でわたしを見つめた。
「これから毎年、こういう日を過ごすんだよ。ひよりの誕生日が、俺たちが付き合いはじめた記念日になるんだから」
ケーキより数十倍甘い、その言葉。
目眩がするほど嬉しかった……
最初のコメントを投稿しよう!