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宮沢さんは上着を脱ぎ、ネクタイを緩めると、わたしの隣にどさっと腰を下ろした。
「今日のプレゼンは本当に良かったよ。実を言えばあのとき、きみともっと一緒にいたいっていう下心でアシスタントに誘ったんだけど」
そう言って、彼は悪戯っ子の瞳でわたしを見つめる。
それに合わせて、わたしも睨んだフリをしてみる。
「じゃあ、下心で無茶ぶりしたんですね」
宮沢さんは声を上げて笑って、
「怒ってる? まあ、職権濫用って言われても言い訳できないな」
わたしは首を振って、横を向いて彼を見た。
「怒るわけない。だって、こうして一緒にいられるのは、そのおかげだから……」
彼の腕がわたしの肩に回り、抱きよせられて唇を奪われ、そのあとの言葉は、彼の唇に飲み込まれた。
一度離して、またすぐ重なる。
唇が重なるたび、心の渇きが癒えていく。
ミネラルウォーターで冷やされていた口内が、またすぐに熱を帯びていく。
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