喫茶もふもふハウス

47/76
31人が本棚に入れています
本棚に追加
/171ページ
――あの日、オレはいつも通り現場で仕事をしていた。とても晴れた日だったのはよく憶えている。どこの現場? 犬小屋を頼まれたあの家に決まってるだろうが。もう仕事は最後の工程に差し掛かっていた。オレは屋根の上で作業をしていたんだが、いいところで昼のチャイムが鳴りやがった。よく町中で流れるあの小煩いチャイムだ。フンッ、あとは天窓を付けりゃあさっさと帰れるのによ。オレは仕方なく下に降りて、昼飯を食うことにした。ふと見ると、でかいワンころたちがあちこちで寝そべっていた。まったく気楽でいいもんだな、こっちはおまえらの寝床を作ってるってのによ。メシを食っていたら、家の主人がお茶を出してくれた。とても気の利く優しい人だと思った。他の職猫に聞いて知ったんだが、なんでもこの主人は日本でもトップクラスに入る大企業のお偉いさんらしいのだ。なるほど、どうりで屋敷がでかいわけだ。
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!