クロハナ猫は福を呼ぶ（連載）

喫茶もふもふハウス

しかもこの会社は高配当ランキングにも挙がっている。アタシは500万円の大半をつぎ込んで、購入ボタンを恐る恐るタッチした。結果は、見事に約定した。あなたは経営者より偉い立場になりました——の文字が出てきたときの爽快感ときたらなかったわ。その後、目的を達成したアタシは何食わぬ顔で日常に戻った。旦那には何一つ知られることなくね。クロハナさんと茶々丸さんのおかげではっきりと思い出したわ。そうよ、この500万円は確かにアタシが金(きん)とプラチナを売ったお金よ。そしてそのお金で株を始めたの。すっかり忘れていたわ。アハハハハ！

クロハナと茶々丸と白丸は、すぐ近くの客席で楽しそうに歓談をしていた。白丸のヘッドホンを触りながら、その性能について語り合っていた。
それを見たコマは、ゴンの体を無言で拾い上げて隣の席の地べたに置いた。そしてクロハナたちの席に交じると、苦笑いで三匹に話し掛けた。