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「それで? 株を買った後にそのことを忘れてしまって、結果シフトの数を増やしたってわけね? 自分がそれだけの大金を持ってるってことも知らずに。スゴい猫ね、コマさんって……」
クロハナがとり憑かれたように言うと、それまで沈黙していたコマが馬鹿みたいに笑いながらテーブルを掌で叩いた。
「笑ってる場合じゃないでしょう! コマさんは誰のか分からない金とプラチナを勝手に売ったのよ!? 何とも思わないの!? 犯罪じゃないの、バレたら捕まるわよ! どうするつもりなのよまったく!」
茶々丸の渾身の叱責にさすがのコマも萎れてしまったが、コマの椅子をがっちりと掴んだその拳が事件の真相を解く鍵を握っていたのであった。
「きゃあっ!」
コマの視界ががくんと揺らいだ。
なにが起きたのか分からず、コマは為す術もなく地べたに転げ落ちた。
クロハナたちは思わずテーブルに前足をついて立ち上がった。
いままで眠っていたはずのゴンが、コマの椅子を思い切り引き倒したのだ。
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