喫茶もふもふハウス

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メシを食べ終えてお茶を飲み干すと、芝生の上に思いきり寝転がった。ああ……太陽がいっぱいだ、と体を伸ばした、すぐ後だった。一匹のワンころがオレのほっぺたを鼻で突ついてきたんだ。オレの体を匂うなり、ちょっとのいてくれないかと言ってきた。なんだせっかく(くつろ)いでいるのにと思いながらも、場所を空けてやった。そしたらそのワンころが、いきなり地面をガリガリと掘り出したんだ。みるみるうちに周りが土まみれになった。猫とは違う足の使い方に、オレはつい見惚れてしまった。すると掘られた穴の中から、しなびたパンのはしくれが出てきた。犬はパンを貰うと地面に埋めて発酵させる習性があるのは知っていたが、いざ取り出すところは初めて見た。ワンころはパンを咥えながら頭を下げると、今度は違う場所にオレを連れていった。そこはちょうど屋敷の裏手だった。ワンころは鼻で狙いを定めると、さっきと同じようにまた穴を掘り始めた。
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