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喫茶もふもふハウス
“喫茶もふもふハウス”
場所は東京の中央区。人差し指を伸ばしたオブジェが看板の、とあるレトロな喫茶店。
ここに、どこにでもいるごく普通の猫三匹が店内の客席に座っていた。
クロハナは、友猫である茶トラ猫の茶々丸と白猫のコマとお茶をしていた。
今日はクロハナたちが勤めている “猫カフェCAT愛らんど” の仕事(※対人接客)が休みなので、三匹でショッピングに行こうと約束していたのだ。
その帰り道の出来事であった。
クラシックな音楽が流れる中、クロハナの友だちが口を開く。
「前から知りたかったんだけどさ。クロハナさんの旦那さんって、どんな猫さんなの?」
プリンが乗ったでかいパフェを頬張りながら、ぽっちゃり体型のコマがクロハナに訊いた。
「旦那……いないわよ。アタシそういうの縁がないし興味ないの。ただでさえ避妊までしてるからね。いざ見つけようとしてもけっこう難しいと思うわ」
少し寂し気に言うと、クロハナは黒い口元でホットコーヒーを啜った。
そのクロハナを見て、コマは目を細く絞り鼻袋をぷくっと膨らませた。
普通ならここで一言お詫びを入れてもいいはずだが、コマは日頃から横柄な態度で振る舞う性格なのであまり悪気を感じていないようだ。
コマは嫌味な鼻息をつくと、テーブルに置いてあったスマホをいじりだした。
「ところで訊きたいんだけどさ。クロハナさんも茶々丸さんも、にゃんモバだったわよね?」
クロハナと茶々丸が目で頷く。
にゃんモバとは、猫が使うケータイ通信キャリアの一つ、にゃんこモバイルのことである。
「 “ねこねこあみだくじ” ってあるじゃない。自分で作ったあみだを他のユーザーさんにプレイしてもらってギガをプレゼントするやつ。それでね、終わった後にけっこう嬉しいコメントを貰うわけよ。ほら、これを見て」
コマは二匹にスマホの画面を見せた。
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