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○○○○○YES NO 問題に終止符!
その日の保健体育の授業は、男女別に行われた。女子は、基礎体温についての説明を受けた。そんな日の下校時、美宇と沙理はやっぱりいつもの甘味処にいた。
「あのさーあ、」
「うん?」
「基礎体温での避妊はあてにならないって、先生言ったけどさあ」
「うん。」
「生理中ならよくない? だって、卵子、絶対しんでるでしょ?」
思いつきのように言った沙理に、美宇が目をホラーなくらい見開いた。その目にたちまち涙が溜まった。
「え、美宇? なんで、どうかした?」
「沙理……あんまりだよ。」
美宇はそう言うと、両手に顔を埋めてしまった。
「え、え、なに?」
「月経期間っていうのはさ……子どもになれずに死んじゃった卵子ちゃんが、お母さんとさよならする期間なんだよ? なのにそんなの、ひどいよ。」
美宇は顔を隠してハンカチを取り出した。本格的に泣き出してしまったようだ。
「おたまじゃくしのほうだってさ……卵子ちゃんにたどり着く決意しかないのに、当の卵子ちゃんはすでにしんでるか、もういないかなんだよ?」
「そ、そうだね……そういうことなんだよね……。」
店内は静まり返っていた。
「もう言わない。言わないし、もしもまだ見ぬ彼氏がいいじゃんって言ってきたら、今の話するから。泣きやんでよ💦」
「絶対よ?」
「うん、絶対。約束する。」
沙理の断言で、美宇はようやく泣きやんでくれたのだった。
「卵子ちゃん、卵子ちゃん……か。」
生理の重さが悩みの沙理が、つぶやいてお腹をなでた。
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