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そもそも、この辺り一帯はすでに4年以上前に粗方調べられた――いや、調べ尽くされたはずだ。その時にも大したネタは得られていないことは、手元にある調査資料にも書かれている。事件発生から丸5年が経ったからという理由でこうして現場に駆り出されたこともあり、署を出てきたときにはどうにかあると見せかけられていたはずのやる気は、当然のごとく既にすっからかんだった。
どのみちここには、不運にもこの役を授かってしまったふたりしかいない。見せかけのやる気すら必要なかった。
「……ああ。そういえば井上さん」
パソコンを持っていた男が訊ねた。
「ぁん? どうした加藤」
「そろそろ着きそうだと、先ほど連絡が来ました」
「……ああ、柳楽くんか」
井上は、怠そうに首を大きく回す。ごりごりと鈍い音を何度か加藤も聞いた。少し痛そうな顔をしているあたり、やりすぎたらしい。
「自分は柳楽さんのことあまり知らないんですけど、どういう方なんですか?」
「この事件の調査をしてくれている外部調査官……とでも言うべきかなぁ」
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