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なんだこの『ザ・モブキャラ』を地で行くような奴らは――。
あまりにも普通すぎてあまりにも不審に思うようなことがあるのか、と井上は思っていた。
「えーっと……、その……、あの、こちらがその?」
「……!」
「ぅわ、ちょっ」
加藤が面倒なことを口走る前に、井上は彼の首根っこを掴んで後ろを向かせた。
「何ですか、井上さん。オレにはそんな趣味無いですからね」
「何言ってんだバ加藤」
「その『バ』は余計じゃないですかねっ!?」
井上は、加藤の脳天を思い切りひっぱたいた。
「いだいでづ」
「うるせえバカ。……いいか加藤。アイツらは、違う」
「……は? え、何がですか?」
ごちゃごちゃうるせえな、と思いながらも井上は続ける。
「あの中の誰かが柳楽だというわけでもなければ、柳楽の仲間でもない」
「え? あ、そうなんですか?」
「そうだ」
間違いない。柳楽はそもそも一匹狼を気取るところが昔からあった。だからこそ探偵稼業のようなことをしているわけであって、彼と今でも付き合いがあるのも井上くらいだった。
「いや、じゃあ、誰なんですか」
「知らん」
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