プロローグ

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「はぁ…」 暗い部屋の中、パソコンの画面に齧り付き、必死にデータを入力している。 はぁ、早く帰りたい… なぜ残業しなければならないのか… それは、隣にいる後輩が明日取引先で使う資料データを誤って消去してしまったからだ。 その張本人は隣で悪びれもせず、スマホをいじりながらパソコン入力をしていた。 注意すればいいのだろうが、相手は専務の甥っ子というかなり厄介な後輩となっており、下手に言えば俺の立場が危うくなる… 「じゃあ、僕お先に失礼しますねー」 「はっ!?」 後輩はさっさと荷物を片付けると立ち上がる。 入力を途中で放棄して、帰るつもりなのか!? 「ちょっと!?もう帰るつもりなのか!? 「はい。僕これから彼女の家に泊まりに行くんで。先輩も早く帰った方が良いですよ。それじゃ!」 誰のせいで残業してると思ってるんだ!! 本当は俺だって、今日彼女とデートの筈だったのに、後輩のせいでパーになってしまった… 仕方ないので、残りの入力をさっさと済ませようとパソコンに向き合った。
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