溢れくる想い

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 窪塚は、私に気づいた途端に、いつものように無邪気な子供のように、ニコニコと満面の笑顔を綻ばせて私のことを出迎えてくれている。  その姿を視線が捉えた瞬間、熱いものと一緒に涙までが込み上げそうになる。  いてもたってもいられなくなってしまった私は人気がないのを確認してから、窪塚の広くて逞しい胸へと飛び込んでしまうのだった。  すると、窪塚は、逞しい腕で私のことを優しくけれどしっかりと抱き留めてくれて。 「鈴、お疲れ。寂しい思いばっかさせてごめんな」  宥めるようにして大きな手で優しく何度も背中を擦りつつ、そう言ってここ最近の口癖のように謝罪の言葉を口にする。  私は、窪塚のぬくもりを感じながら匂いを目一杯吸い込んでから、 「もー、久しぶりに会えたのに、また謝ってばっかり。そんなのは時間の無駄だっていつも言ってんでしょ。それとも、早く圭とふたりっきりになって楽しい時間を過ごしたいって思ってたのは私だけだったってこと?」 顔を上げて、ムッとした表情で頬を膨らませて唇を尖らせつつ、窪塚に迫るのだった。  心配してくれるのはとっても嬉しいけど、余計な心配をかけたり、気を遣わせたくなかったからだ。  脳外科医としてのスタートを切ったばかりの窪塚の足を引っ張るようなことだけはしたくないーーその一心だった。  窪塚は私の思いを汲み取ってくれたのか。  今一度ぎゅぎゅうと私の身体が軋むほど強く掻き抱いてから。 「バーカ。そんな訳ねーだろ? 俺も早く鈴とふたりっきりの時間を楽しみてーよ。今夜は一晩中鈴のナカでいたいから、覚悟しろよな?」  とびきり優しい甘やかな声音での『バーカ』と一緒に、同じ思いを紡いでくれて、最後には照れ隠しで冗談めかしてくる。  それには、これまたいつものように、そういうことに関して未だに慣れずにいる私は、真っ赤になりつつも。 「////ーーもう、バッカじゃないのッ! それはいつものことでしょうが。バカなこと言ってないで、ほら、早く帰るわよ」  窪塚の胸板を両手で押しやりながら離れようとして、それを窪塚に呆気なく手首を掴んで制されてしまい。 「こらこら、鈴がたきつけたんだから責任取れって」 「責任って、どうやーーんんっ!?」  お決まりのようにチュッというリップ音を響かせつつ唇を優しく奪われて黙らされることとなって、始めこそ驚いて抵抗を示してしまったが。  早々に諦めて、窪塚の背中に両手を回してぎゅっと抱きついた私は、久々に交わした窪塚との甘やかなキスに暫し酔いしれていた。
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