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最初の手紙
今どこにいますか――?
君がいなくなって僕は自分の不甲斐なさに打ちひしがれました。本当に不甲斐ない。いつだって自信が持てなくて、身分さを気にして本当の気持ちを君に伝えることをせずに。なんてバカだったんだろうね。
アミナ。君がいなくなってから知ったよ。情けないけど、ごめんね、僕はうれしかった。君は僕のことを大事に思ってくれていたんだね。社交を減らしたのは僕の悪口を言う令嬢たちに激怒したからだと聞かされた。一緒に買った花の種を一緒に植えたいと待っていてくれたことも、誕生日の贈り物に悩んでいたことも……ひとつも気付いていなかったなんてなんて僕は愚かだったのか。
落ち込む僕を励ましてくれた人たちは僕の仕事への姿勢やたまに使う魔術の正確さを褒めてくれた。なんで誇るよりも卑下するんだと怒られもした。本当に僕は不甲斐ない。でも、君のことだけは諦めたくない。
アミナ、僕は君を探すよ。僕も旅に出る。この国は恐ろしく広いからどこまでもすれ違うかもしれない。真逆の場所に行ってしまうかもしれない。けれど……君を探す旅はとても幸せだと思うんだ。
ねぇ、アミナ。君も手紙をくれないだろうか。答えを教えてくれというんじゃない。君が元気でいるのかを知りたいんだ。手紙に送信用の玉を入れておく。気が向いたら手紙で玉を突いてくれ。僕の場所に手紙が飛ぶ。安心して僕は送受信はできるけど、追跡はできないから。
君が返事をくれなくても、僕はたびたび手紙を書こう。3週間のタイムラグは大きいんだろうな。迷った時の棒倒し。あれで最初の方向を決めることにした。迷った時はシンプルに運試し、だったね。棒はアミナの場所へ導いてくれるだろうか? 最初に着く街で次の手紙を書くよ。それじゃあ、また――。
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