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ラレイルはその本を受け取ると、大事そうに表紙をなでた。
「おお~綺麗に直ってるじゃんかよー! サンキュー!」
そもそもが古い本ではあったが、一か月ほど前にラレイルが破って壊してしまったのだ。機械工作であれば自分で直すのはお手のものだが、本は本のプロに頼むのが一番だ。
結果、正解だった。ついでに細かい傷や、かすれて読めなくなっていた箇所も正確に復元されている。
「けっこう年季が入った本だね。繰り返し読まれている感じがしたよ」
「ああ。リジーの大切な本なんだよ」
「ビッリビリに破って怒られた?」
「まぁ…………私の悪あがきってやつ」
珍しく少し寂しそうな顔でラレイルはそう言った。
「なんのこと?」
「……とにかくありがとな。礼はするから何でも言ってくれ」
何でもと言われたら頼むことは一つしかない。ルーシーはへらへらしながらこう言った。
「んじゃあまた白海の可愛い子たち紹介して~」
「まずはその黒髪をなんとかしろよ。白海の女の子は白髪か、金髪好みだよ」
過去にもルーシーに自国の女の子を紹介したことがあったが、ルーシーの黒髪のインパクトが強すぎて上手く行った試しがない。
「ええー」
ぶーと口をとがらせているルーシーだが、可愛さは微塵もない。
「黒髪なんてこの世界じゃ超貴重よ? それを好きって言ってくれる女の子だっているっしょ~?」
はいはい、とラレイルは話半分に、早くも帰る素振りだ。本を大切そうにしまうと立ち上がった。
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