◆45日前 Side-Liz

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「そういえば、そのラレイル様は、もう数日お見かけしていないけど?」  ラレイルはフットワークの軽い王だ。自らの任務もあるため、城を空けることも多い。 「いつものことでしょう」  リジーは話半分に返事をして本の続きを読んだ。  その態度にサムは、眉間に皺を寄せて説教モードに入った。 「リザエラ……そこがあなたの悪いところよ」 「何が?」 「あなたを見ていると時々思うの。本当にラレイル様のことを愛してる?」  それは愚問だ。リジーは即答した。 「もちろん愛しているわよ。当たり前でしょう?」 「……そうやって言葉にして伝えている?」  次の質問にはリジーは少し考えた。そもそもラレイルはそばにいないことも多い。だから日頃から愛を言葉で伝えているかと聞かれると、答えはノーだ。  それでも彼を愛しているし、愛されている自覚もあった。 「もっとラレイル様に甘えてみたらどう? 本当は寂しいんじゃなくって?」 「……寂しい? 私が?」  その感情は思いつかなかった。もう子供のころから四十年近く一緒にいる。  良い意味での空気のような存在とも言えるかもしれない。普段意識はしないけれど、なければ生きていけない。それでも確かにそこに存在している。だから姿が見えなくても寂しいと感じたことはなかった。  ぽかんとするリジーに対して、サムは立て続けに質問した。 「興味なさそうに見せているけど、心の底では、そばにいてもらいたいんじゃないの?」  そう言われてリジーは今度は静かに首を振った。 「あの人がそばにいる時、どんなに鬱陶しいかサムも知ってるでしょう? 普段いないくらいがちょうどいいのよ」  夫婦の距離感はつかず離れず。これがお互いにとって一番心地いいものだと思っていた。 6fe4e5dc-a4e1-49d0-9879-8ddd0442bbd8
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