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「……リザエラ。夫婦の形は様々だし、あなたたちが幸せならそれでいいとは思うけれど。……もう少し、一緒に過ごしてもいいと思うわ」
「……」
真剣な眼差しでリジーを見つめていたサムは小さく微笑み表情を緩めると、椅子から立ち上がった。
「トーランスが結婚したことはいいきっかけになるかもしれないわね。さっさとあの子に四天王の地位を譲って、夫婦でゆっくりしなさい。気がついたら、そんな時間すら取れないかもしれないのよ」
この城でリジーにはっきりともの申せるのは、きっとサムくらいだろう。そして彼女の言うことは常に正しかった。
リジーはサムの目をじっと見つめると、観念したように笑い、答えた。
「……分かったわ、サマンサ先生♪ ……今度、ラレイルともゆっくり話してみるわ」
「……ごめんなさい。出しゃばった真似をしたわね」
「……ううん、サムの言いたいことはよく分かるもの」
その時、召使いがバルコニーへやってきた。
「失礼します。リザエラ様。お食事の準備ができました」
「ありがとう。すぐに行くわ」
リジーは本を閉じるとサムを誘い、一緒に朝食に向かった。
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