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あの本をあげたのはまだ結婚する前、リジーの20歳の誕生日だった。
彼女の誕生日には毎年、あふれんばかりの花束やお菓子、宝石、ドレス、あらゆるものを贈っていたが、今年は違う。高価なものではなく、もっと彼女の心に残るプレゼントにしたかった。
この一年近く、お互いが同意の上で別れていた。婚約関係を解消したわけではなく、単純に周囲への反発、いわゆる若気の至りのようなものである。しかしおかげで関係が戻ってからはラブラブそのものだ。あと半年もすれば自分たちは正式に夫婦になる。
今年の誕生日プレゼントはその記念になるようなものにしたいとラレイルは考えていた。
そこで彼が見つけたのが、作家マクラムの愛の詩集だ。普段リジーはマクラムの本を好んで読んでいる。
物語作家であるマクラムの詩集は珍しい。自分の気持ちをこの本に添えて贈ればきっと喜んでくれる。
本は最高のプレゼントになるはずだった。……ロックレイさえいなければ。
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