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ラレイルは自室に戻り、本を取り出した。リボンをほどいて表紙をめくると、そこには彼女に向けて自分が書いたメッセージがある。彼は静かにため息をつくと、そのメッセージを丁寧に消した。
「なーにやってんだろ、オレ……」
***
リボンをかけ直しリジーの元に戻ったラレイルが見たのは、楽しそうに話をするロックレイとリジーの姿だった。
リジーは誰と話す時も、基本的には明るく笑顔でいる。でも、ロックレイと一緒の時はそれが一際輝いて見える。
リジーがロックレイに対してただの幼馴染以上の感情を抱いているのは分かっている。そんな二人を見ると胸が痛くなった。そしてラレイルはこういう気持ちになる自分を嫌悪した。
「ラル! ロックも来てくれたわ」
「よう」
「あー……」
ちらりとロックレイを見ると、にやっとした笑顔を返された。いつもと変わらない様子で、全く意図が掴めない。
ロックレイへの挨拶もそこそこに、ラレイルはリジーを見つめるとそっと彼女を抱き寄せ、唇に口づけた。ロックレイに見せつけるためだったが、彼は何も気にしないようで、友人二人がいちゃついているのをいつもの笑顔で見ているだけだ。
突然キスされたリジーは一瞬驚いた様子だったが、ラレイルのキスに応えるように彼の首に腕を回した。
少しの間、彼女の甘さを独り占めする。
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