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家を出るにあたって
鈴子の伯父さんと父親が相談して
大学卒業までに困らない金額が
私の口座に用意された。
「自分で金も暮らしも管理。
君は立派な大人や、出来る。
でも、『寂しい』はちゃんと
友達や彼氏には伝えること」
鈴子の伯父さんの言葉に
背筋が伸びた。そして、
勉強に励んだ甲斐あって
昌磨と共に希望校に揃って合格、
私は文学部で古典文学を、
昌磨は機械工学を専攻した。
「よう飽きもせんと
続くもんやなあ」
鈴子に冷やかされながら
昌磨との交際も恙無く……
昌磨の両親の勧めもあって
大学卒業と同時に結婚。
戸籍も変わったことで
母親の墓も移して…
法律上の手続きを経て
無縁の人に、父親はなった。
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