Nandinaの庭

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大家さんの持ち家の一軒に マリンと三人で引っ越した五月、 結婚の挨拶に 鈴子の家へ伺うと 「また増えたんじゃない?  南天の木…」 山を背に、南天の葉の緑が 降るような庭。 ふいと懐かしい生家の庭… 母親の丹精込めた南天を ……思い出した。  「そういえばさっき   昌磨の家でも南天が   増えてたみたい…   やっぱり明るい家庭には   南天がよく育つのね」 私が言うと  「そしたら円香ちゃんも   子供が生まれて、   家を建てたら、いい南天、   植えんとアカンね」 鈴子の母親が言ってくれたあと、  「ウチから一本、ここから一本、     貰うことにしよう!」 昌磨が微笑んだ。 この昌磨の気遣いは… ここに来る前に お化け屋敷みたいになってた 私の生家を見たせいだと判った。 門の前には収集拒否された ゴミ袋が幾つも…転がっていた家。 父親は清潔に暮らせているのかと 過る心配を振り払って 鈴子と夢中でお喋りをした。     
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