Nandinaの庭

7/27
前へ
/27ページ
次へ
ある日… 学校から帰ると  「こっちの服もいいわ」  「似合うよぉ、お前は私に似て   器量よしだから」 買い物にでも出たのか、 だらしなく散らかったリビングで 洋服を拡げている母娘。 無視して…庭を突っ切って 自分の離れへ…  「 え?! 」 鍵を掛けて出たはずの部屋の 鍵が壊されているのに絶句。 すこぶるタイミングで笑い声。 とにかく部屋へ入ると… 机の引き出しから六万円が… …それだけが消えて…。 父親は申し訳無さからか、 必要以上に小遣いを くれるようになっていた。 それを知っている母娘、 新しい洋服…繋がるけれど 相手の“手”に乗って “同じ土俵”で口論してはならない。 深呼吸して…頭を冷やして… 昌磨と鈴子に電話。 二人はすぐにきてくれた。  「新しい鍵と防犯ブザー大音量の   ヤツを三つとそれから…」 昌磨が持ってきたのは隠しカメラ。  「留守するときは必ず録画して」 電気屋の手伝いもする昌磨が 簡単に装着してくれた。  「やっぱり下宿のことは   考えたほうがエエわ…   なんやったら、うちの   伯父ちゃんから   円香(まどか)の父ちゃんに   話をしてもらっても…」 鈴子の伯父は弁護士で 父親とは同級生になる。 自営業の父親が何かと 世話になってもいた。  「うん…考える…」 この時、家を出る決意をしなかった ことが、次の災難を生んでしまった。   
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加