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「店長とは100年前旅をしてた頃にしばらくの間お世話になった事があってね。もう随分前の事だけど。その頃からの付き合いなのよ」
「へえ、旅ですか」
ジャックランタン達が貯蔵庫の中にカボチャを入れている間、ベリンダさんはアインさんとの思い出を僕に話してくれた。彼女は常に家に居るわけでは無く、ちょくちょく旅をしたりすることもあるらしい。
「そう。箒で気ままな旅をね」
箒で旅というところは流石は魔女だ。
「店長いい人でしょ。いい人過ぎるくらい人が良いでしょ。もう、昔からあんな感じなのよね~。だからなんか、ほうっておけないっていうか。つい助けてあげたくなっちゃうの」
それで今回も、緊急なお願いを快諾してくれたのか。ベリンダさんの話を聞いて、僕はなんとなく思った。
確かにアインさんは、いきなり転がり込んできた僕のことを助けてくれた上、快くビストロ・ノクターンに置いてくれた。甥っ子だって知らない頃の話だ。
今思い出しても本当にいい人だし、いい人過ぎると思う。
……吸血鬼だけれど。
「全部運び終わったようね」
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