52人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、お化けの祭典ともいえるハロウィーンの話題が、アインさんから出てくるとなんだかちょっと不思議な気持ちだ。
「ハロウィーンには何かするんですか?」
「そうだね……去年は確か、皆で仮装してお客様を出迎えたんだよ。吸血鬼とかミイラ男とか……」
「それ、まんまじゃないですか……」
絶対にエミリオさんは『人狼の仮装をして出迎える』ってやってるに違いない。
「ハロウィーン・キャンペーンって銘打ってね。従業員も勿論だけれど……エミリオのパン屋ともコラボして、一緒に仮装したんだ。エミリオは確か人狼だったかな?」
「ははは……」
予想通り過ぎて僕は思わず愛想笑いをしてしまう。エミリオさんが人狼の仮装なんて、もうどんな感じか目に浮かぶようだ。
「ハッピーハロウィーンや!」
そんな僕達の背後から、案の定エミリオさんの元気な声がした。
振り返れば狼の耳らしいカチューシャを付けて、ふかふかの肉球付き手袋をしたエミリオさんが「がおー!」とポーズをつけながら立っている。
「お早うございますエミリオさん、朝から元気ですね……」
最初のコメントを投稿しよう!