ビストロ・ノクターンのハロウィーン(1.5)

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 しかし、お化けの祭典ともいえるハロウィーンの話題が、アインさんから出てくるとなんだかちょっと不思議な気持ちだ。 「ハロウィーンには何かするんですか?」 「そうだね……去年は確か、皆で仮装してお客様を出迎えたんだよ。吸血鬼とかミイラ男とか……」 「それ、まんまじゃないですか……」  絶対にエミリオさんは『人狼の仮装をして出迎える』ってやってるに違いない。 「ハロウィーン・キャンペーンって銘打ってね。従業員も勿論だけれど……エミリオのパン屋ともコラボして、一緒に仮装したんだ。エミリオは確か人狼だったかな?」 「ははは……」  予想通り過ぎて僕は思わず愛想笑いをしてしまう。エミリオさんが人狼の仮装なんて、もうどんな感じか目に浮かぶようだ。 「ハッピーハロウィーンや!」  そんな僕達の背後から、案の定エミリオさんの元気な声がした。  振り返れば狼の耳らしいカチューシャを付けて、ふかふかの肉球付き手袋をしたエミリオさんが「がおー!」とポーズをつけながら立っている。 「お早うございますエミリオさん、朝から元気ですね……」
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