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エミリオさんはパン屋の閉店時間になると、またもや僕たちの元にやってきて大きな事から小さな事まで手伝ってくれた。
なんだかんだ朝の一件があって万全の状態では無かったのでエミリオさんはさながら救世主のようだ。
「もうエミリオに足を向けて寝られないな」
ぼそりと言ったアインさんの言葉が、妙に日本人ぽくて可笑しくなってしまう。
(めちゃくちゃ外見は異国の人なのに……)
そうこうしているうちに、ディナータイムの時間はやってくる。お客さんも昼間とはまた違う顔ぶれが続々と入ってきた。勿論、何時もの顔ぶれも、昼間の顔ぶれもいないわけでは無い。
(押谷さんだ。……昼間も来たけど夜も来てくれたんだ)
窓辺の席にはチロが座り、ナァ~オと鳴いている。
出迎えのジャックランタン達も夜はお客さんの前で仮装のお化けの不利をして、ホールスタッフを頑張ってくれている。
奥ではエミリオさんが獅子奮迅の働きで料理の手伝いをしてくれているらしい。僕とヴィクターは少し休ませて貰いながら、彼らの働く姿を見守っている。
「こんなのんびりしていて良いのかなあ……」
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