ビストロ・ノクターンのハロウィーン(1.5)

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 人造人間の仮装というのは、よほど『いかにも』路線を狙わないと難しいかもしれない。特にヴィクターは、俗にいう『人造人間』的なイメージとはかけ離れた少年の姿をしている。 (ちょっとハードル高いかも……)  それこそ特殊メイクが必要なんじゃなかろうか。いや、でもそこまでするのは流石に……。 「ぶつぶつさっきから、どうしたんです? きょっぴー」 「わっ、ジェドさん!」  気づけばいつの間にかヴィクターは消えていて、代わりにジェドさんが立っていた。どうやら僕はヴィクターの仮装について考えるあまりぶつぶつ独り言を言ってしまっていたらしい。そう考えるとちょっと恥ずかしくて顔が熱くなる。 「い、いえその、ヴィクターが人造人間の仮装をしたけど気づいて貰えなかったって言っていたんで、どうするのがベストだったのかなって……」  僕の言葉に思い当たったのか、ジェドさんが「あー」と何度も頷く。
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