3人が本棚に入れています
本棚に追加
ぼんやりと目を覚まし、起き上がり、ぼんやりと部屋を歩き回り、窓を開け、宇宙船を目にして、小さく欠伸をし、顔を洗うために洗面所に向かった。歯ブラシが二本、少しにやける。顔を洗い、顔を拭き、のそのそとキッチンに向かうと、すでに朝食が出来ていた。ちょっとの間宇宙船という単語が頭のなかをふらふらして、つながるべき相手を探していた。キッチンの窓の外にある宇宙船から黒い煙が吹いている。レニーはそれを眺めていた。「火がでてる」と思いながら、服を着替えようとのそのそと寝室に戻った。しかし今朝はどうしてこんなにも眠いのだろう。バスルームのわきを通り過ぎる前に、立ち止まって大きなコップで水を一杯飲んだ。少しだけ頭がすっきりした。昨日は一日中、セラの宇宙船の修理を手伝っていたんだっけ。外部の損傷よりも内部のシステムがいかれていて、それを直すために地道な作業を夜通し続けたのだ。それにしてもひどい寝不足だ。もう一度ベッドに寝転びそうになる。我慢して服を着替えながら「火が出ている?」とはてなマークが浮かび上がって、頭の中で主語を探している。五秒後、倉庫の近くから破裂音が聞こえて、レニーはバケツいっぱいに水を汲んで家から飛び出し、倉庫近くにある宇宙船の方向へ走っていた。宇宙船はオーバーヒートを引き起こし、燃え上がる炎が風に乗って倉庫に飛び火しそうになっていた。
「おはようレニー。いい朝だね」
宇宙船の扉から満面の笑みで出てくるセラにレニーはあわあわと口を動かした。
「おはようじゃないよセラなにやってんの」
「なにやってんのって、バグがあるシステムをなおしてるんだよ」
あっけらかんと言った彼女はまだ状況がつかめていなかった。
「燃えてるって、ほら頭の上見てごらん」
「うえ……あら」
「あらじゃないよ、鎮火鎮火。はやく水をかけないと」
「あっ水はダメっ!」
セラの忠告も聞かずにレニーは黒煙が上がっている部分めがけてバケツの水をぶっかける。
「あっ」
レニーが思わず声をもらした。水がかかった部分の回線がショートし今度は火花が散った。バリバリと音を立てて、大人しくなったころには外に漏れていた宇宙船内の光が消えた。
「あちゃ~」
セラは水浸しになりながら頭を抱えながら肩を落とし、
「レニー水はダメだよ~」
呆れたように言った。
最初のコメントを投稿しよう!