あなた

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「私はあなたを許しません」  私が言うと、医者は呆れ顔を浮かべる。  なんだ、その顔は。  医者は、いい加減うんざりするよ、とため息をつく。  なんだ、その態度は。  あの人を消したのはお前のくせに。 「彼が治療を望んだんだ」 「そうだとして、どうしてあの人がいなくなるの?」 「そりゃ、あんたが言うあの人がどれだか知らないが、治療がうまくいってるからだ」  うまくいっているわけがない。あの人のことを消しておいて。  あの人は私が怒っているのが嫌いだった。些細なことで激昂する両親のことを思い出すから。だから私は怒らない。正確には、怒りを表に出すことはしない。  でも本当は、私はこの医者に怒り、彼を憎んでいる。殺したっていいくらいだ。  昂る感情を抑えながら、その場を後にする。  知っているんだ、本当は。  あなたがもう戻らないってこと。
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