服部半蔵VS国殺し

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服部半蔵VS国殺し

国殺し「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 信長「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 静寂が辺りを包む。 しばし、2人は互いの様子をうかがっている・・・ やがて、静寂を破ったのは国殺しの方だった・・・ 国殺し「ふ・・・・そんな手で騙せると思ったか、どんなに上手く変装しても忍びの特有の匂いと殺気は隠せないものだ・・・どんなにお前が自分を殺して信長公になりきってもだ・・・服部半蔵!」 信長「!!」 国殺し「3日前、松平元康(後の徳川家康)公が、近頃噂の恐ろしい剣客【国殺し】の話を聞き、心配になって同盟相手の信長公を守るために派遣させたのがお主服部半蔵だ・・信長公は大名としての能力はあるが、自分の身の周りのこととなると危機意識が薄い。それを心配して、元康公が護衛としてお主を送った。 信長公は弱小大名の元康公にとっては心強い同盟主・・・死なれたら困るからな。」              「ははーん、情報は収集済みってわけか・・・・」 信長公に化けていた服部半蔵は正体を現す。黒装束だが、顔は隠しておらず冷静でクールな雰囲気をまとい どこかアンニュイな様子の若い忍者だった・・・ 服部半蔵「ちえ、バレちまったか・・・結構いけてた変装だと思ったんだけどなー」 国殺し「信長公はどこだ?」 服部半蔵「そう、焦るな、時間はたっぷりある。お前の足なら充分追いつけるさ。」 国殺し「あいにく小者に構っている暇はない・・・・・・・・・・」 服部半蔵「情報ってのはな、人に聞くんじゃなくて自分の足で取るものってのが忍びの世界の常識なんでな、侍はどうか知らんが、情報を知りたいならまずその小者と勝負してみな!」 服部は臨戦態勢を取り、ステップを踏む。 そして、素早く国殺しの【必死の間合い】に恐れずに入り、小刀を抜いて細かな螺旋斬撃を繰り返す。 さすが一流の忍びだけあって素早さと身の軽さのキレが良い。 国殺しは、螺旋斬撃をヒョイヒョイと避けながら後方に下がり、壁を蹴って バク宙をし、服部の頭を蹴る。 物凄い蹴り技だったが、服部は技を受ける直前に衝撃を抑えるため後ろに下がり なおかつ左手で頭を守っていた。 国殺し「ほう・・・お主拳法にも精通しているのか・・・」 服部「あんたも、雑な攻撃だけどキレがあるねえ・・・恐らくその身体の使い方は大自然の中で生き残るために身につけた動き方だ・・・後は実戦の中で身体に刷り込まれていったのかな・・・」 国殺し「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 服部は次の攻撃に移る! 大広間に飾ってある兜を投げ飛ばし、それと同時に自分も床を蹴って走る。 兜が国殺し向かって飛来してくる! なるほど、先に投げ飛ばした兜の影に隠れて自分の手の内を見せないようにする作戦か・・・・ ならば・・・・・・ 国殺しは壁走りをし、服部の後ろに回ろうとするが・・・・・ いない! 国殺し「!」 服部はいつの間にか国殺しの後ろをとっていた・・・ 服部「実戦では対象を殺すのに3秒以上はかからない・・・お前ほど手こずった相手はいないよ。 だが、これで終わりだ!」 服部は毒を仕込んだ小刀を国殺しの首元へ・・・・ 「静神流 奥義 破壊の波【滅神】!」 突如、服部の身体に物凄い衝撃が走り、まるで爆風が当たったかのように吹き飛ばされる! 服部「ぐはあ!」 静神流 奥義 破壊の波【滅神】とは・・・・・ 全てを破壊してしまうような津波を剣術で表現したような荒技だ。 近くの対象を再起不能にしてしまうほどの威力がある。 服部の小刀は折れ、彼の顔には深い斬撃の傷がついた・・・・ 血がブシャアアアア!と飛び散る・・・・ 恐ろしい威力の斬撃で、骨も何本か折れたようだ・・・  国殺し「ほう・・この技を食らってもまだ生きてるとは・・・忍び特有の研ぎ澄まされた危機察知能力で、攻撃を真正面から食らわないよう直前で後方に下がったか・・・中々やるな・・・」 服部「ううううう・・・・・」 国殺しは倒れて動けなくなった服部を見下ろしながら言う・・・・ 国殺し「生かしといてやる・・・またどこかで戦おう・・・」 国殺しは、その場を立ち去ろうとする。 服部「ひ、人殺しめ・・・何の恨みがあって無差別に女・老人・子供まで斬る・・・信長殿が狙いなら、斬るのは彼だけでよかろう・・・」 国殺し「お前たちも同じだろう・・・人を殺すことしか能のない生き物だ。お前たち忍びも俺も所詮は日陰者だ・・・日陰者は日陰者らしく、黙って汚れ仕事をやるのみだ・・・・」 それだけ、言い残して国殺しは清洲城から立ち去った・・・・ 服部は思った・・・ 所詮は日陰者か・・・・ 確かに、忍びなんて生き物はならず者・みなし子で構成された日陰者集団だな・・・ だが、日陰者は日陰者なりにこの混乱した世を楽しんでるさ・・・ やはり、奴のあの驚異的な身体能力は野生の場・つまり自然で身につけたもの・・・ 忍びの訓練と同じだな・・・・ 山地、大河を利用して自然と一体になり感覚を研ぎ澄ます・・・ 奴の剣術はそれを最高峰にまで極めた最強の殺人術だ・・・・・ 国殺しは清洲城から、逃げた信長を追って山中を走る! 走る! 走る! 驚異的な脚力は山道をものともせず、すぐに信長とお付きの光秀、藤吉郎に追いついた・・・・ 忍びのように、周りの自然に溶け込み気配を消して近づく国殺し・・・・ 山中でドロドロ、ボロボロの3人・・・・ だが!その時なぜか国殺しはここまで来て、刀を鞘に納めてしまった・・・・・ なぜ? なぜ信長を殺さない・・・・・ 次回予告! 国殺しと将軍【足利義政】との繋がり
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