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三章👑ついに文化祭開幕……!!
「おーい帰ってこぉーい」
「生きてんか、おーーい」
「へぁっ」
山びこのような桜さんの声とほっぺをつつかれる感触ではっと我に返る。
「わたしはだれぇ……ここはどこぉ……」
「おまえは翠恋。ここはお化け屋敷」
「お化け屋敷?!」
「そ。んで今はメイクちゅーね。上むーいーて」
「あっへいっ」
周囲にはダンボールで作った道と手形がいっぱいの看板。窓に黒いビニール袋。
そ、……そうだ!今日は文化祭本番……!!
「なぁーにーなんかあったー?一真となんかあったぁー?」
「どぎゃぁぁっ」
「イッヒーッあーおもろ。菜屋でーす」
「あっはっ菜屋さんっっ、確かに菜屋さんに似てますっ」
「似てますじゃなくて菜屋本人ね」
横から覗き込んできた青白い顔をした口裂け女に驚いたが、菜屋さんらしい。
うん、よく見たら菜屋さんに見えなくもない……
それにしてもめちゃくちゃメイクが上手い
「これほんとにメイク……」
「さわっていーよ」
「し、失礼しま」
「わーーっ」
「わぁあぁっ」
「あはははっおもしろ、あっ笑いすぎてシール取れるやめて翠恋っ」
「菜屋さんが脅かすのをやめてください!!」
「ああーっもう翠恋動くなっメイクがずれるだろ!!菜屋!!バカ!!」
菜屋さんは桜さんに怒られつつケラケラと笑い泣いている。
今度は涙でメイクが取れるとか言ってトイレに行ってしまった。
イタズラ好きで破天荒な人だ
「楽しそうでいいねー」
「ん?」
今度は背後から声がして振り向く。
教卓の上に爽やかに腰掛けているのは、波三谷くんだ。
私達をニコニコ見つめて、恋人はおばけ〜♪と謎の歌を口ずさんでいる。
頬や首に少し傷メイク……?がされてあるだけで大きな変化がなかったからすぐに波三谷くんだって分かった。
これも桜さんにやってもらったのかな
「波三谷じゃましたら蹴る」
「わー可愛い子に蹴られるなんて光栄だぁ」
「刺す」
桜さんは手に持っていたアイライナーを波三谷くんに向け、ゴゴゴ……と威圧感のある目で睨む。
「わー」
そのまま追いかけっ子が始まってしまい、わたしは一人ぽつんと取り残されてしまった。
なんだかんだふたりは楽しそう。
「ふふ、……仲良しだなぁ」
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