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「へ」
「菜屋が文化祭はしゃぎすぎてて5才児だから変わりに私が言うが、……」
「あんた一真どした?」
「一真くん?!」
「そうだよあんたの大好きな一真くん!!さそった?!さそったよね!!?」
「……さそう、?」
「そうだよ!!文化祭だぜ!!一緒に店番してそっから秘密で抜け出すとかっ午前と午後分かれてっから言わずに黙って時間合わせるとか!!こんなん恋イベナンバーワンじゃんっっ」
「はっっ……」
「忘れてたんでしょ!!あんた一つのことにしか目いかない真っ直ぐな女だからな!!いい!今から行って来い!!」
「っはい!!……あ!!でも店番」
「クソ真面目か!!あたしがいいって言ってんだからいい!行って来い!」
「ジャイ○ン!!」
「誰がジャイ○ンじゃぼけぇぇ……!」
「すいれーーん!がんばれよぉーーー!」
駆けながら背後を振り返った。
桜さんは両手をメガホンみたいに口元に添えて、私に向かって叫んでいる。
応援。人の応援って温かいな。元気が出る。
ぐんっと力強い風みたいに背中を押される。力が出る。
友達っていいな。すごいな。
「ありがとうございまぁぁーーすっ!!」
一真くん。一真くん!
待っててねっ
今向かってるからァァァ………
「ッてどこぉぉぉ?!!」
「はぁっはぁっぼへ……か、一真くんどこ」
どれだけ校舎を走り回っても、校庭に出てみても、人ピーポーひとぉぉッッ!!
人が多すぎてぜんぜん分からん!!
なんで?!いつもなら、一真くんがどこにいても一真くんをすぐ見つけられるのにぃ……んぬぬまだまだ修行が足りない。
「ままぁ。あの人こわぁいぃ」
「うふふ見ちゃだめよ」
え。わたし小さい子供に指差されてる?
お母さんワタシは見て大丈夫な人です。
「こ、こわくないよぉ……」
「わっうわぁぁん」
ちーん。
そんなに怖いかな私……ってハッッ
ふと思い出し慌ててスマホの内カメラを開く。
自分の顔を見ると、けっこうガッツリめのゾンビメイクがされていてびっくりしちゃった。
「うん。これは怖いねアハハ」
「ごめんねぇ坊や……」
「うわぁぁままぁぁ」
なるべく怖くないようににっこり優しく微笑むと余計泣かせてしまい、あたふたしていると誰かと肩がぶつかってしまった。
「あわわ、すみませっ」
「おっとと、大丈夫?」
肩と腰を抱えるように支えられて、その態勢はまるで映画のワンシーンのようなロマンチックな……
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