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王子様と初めて知る胸の痛み
「王子様……」
「ふはは王子様に見える?」
ぼんやりとしていたらいきなり無邪気であどけない笑顔を向けられてはっとする。
「波三谷くん!!」
「うん。どこも怪我してない?」
「あっはい!大丈夫です!ありがとうございます!!」
「ふふっどういたしまして」
びっくりした……波三谷くんの衣装が王子様みたいだからいつにも増して王子様に見えて、一瞬ドキッとしちゃった
「何か困ってる?ねぇボク、どうして泣いてるの?」
波三谷くんは男の子と同じ目線にしゃがみ、優しく問いかける。
あんなに泣いていたのに、男の子はピタリと泣き止んだ。
波三谷くんすごい!!
「……お兄ちゃんかっこいい」
「ありがとう」
「お兄ちゃんは王子様なの?」
「そうだよ〜」
「じゃぁ馬は?馬にのるんでしょ」
ゥ馬!!
そうだよ王子って馬にのるイメージがあるよね
ど、どうする波三谷くん……
「うーん。馬にのっていなくてものっていても、僕は心が王子なんだよ」
なっ
なんとスマートなかわしかた……ッ!
というかやっぱり波三谷くんは本物の王子なのでは……?
「こころぉ?」
「そうはぁーと♡ねっプリンセス」
「はいッ」
お母さん?!目がハートになってます!?
「一年一組よかったら来てくださいね」
「お化けがいるから怖いかもしれないけど、プリンセスを守れたらもうそれは立派な王子だね」
ぬかりない……うちのクラスの宣伝まで完璧な王子……
「ママは僕が守ってあげるね!」
きゃぁ。かわいぃ
小さな王子は手を振りプリンセスと手を繋いで行ってしまった。
今から劇を見に行くらしい。
どこの学年だろう……私も見に行ってみたいなぁ
「3年1組が体育館でやってるらしいね」
「へぇ〜……っん?」
声に出てた?!
「行こっかっ」
「えぇっ?!」
波三谷くんは私に手のひらを差し出して、ふっときれいに笑う。
あたふたしているうちに手をとられ、いつの間にか駆け出していた。
「どわぁ〜〜わ、わたし一真くんを探してるの〜〜っ」
「見て回ってるうちに見つかるよ〜」
「ふぇぇ〜〜」
「時間は限られてるんだから。ね?12時の鐘が鳴るまで楽しまないと」
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