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高校1年生――春
「…な、あいつ見ろよ、めっちゃださい」
「ふはっ…まじだ」
クスクスイヤぁな笑い声。
ださいとかやばいとか、きっといい意味じゃない言葉がたくさん。
そしてそれはきっと、私に向けられたものだって知ってる。自分でも分かってる。
髪なんてずっと切ってないから傷んでてピョンピョン跳ねてるし、前髪で両目が隠れてオバケみたいで、すごく目が悪いからメガネが分厚くなって目が小さく見えるし、ずっと俯いてるから姿勢悪いし、とにかくお世辞にも可愛いとは言えない見た目だって。
分かってるけど、これが私なんだから仕方ないじゃん。
そうやって蓋をして、スカートをぎゅっと握りしめて耐えて、耐えて、今までやってきたから。
私はもうそういう運命なんだって、
思っていたのに――
「なぁ、うっせーんだけど」
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