望月パセリという女の子

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望月パセリという女の子

「いま、どこにいますか?」  ファミレスのシートに座って、メニューを開き、なにを食べるべきか真剣に悩んでいると、ラインが入った。  僕がいまどこにいるかというと、高田馬場のファミレスにいる。それはいいのだ。ラインの送り主は、最近つきあい始めた望月パセリである。ちなみにパセリというのは本名で、純日本人である。それもいいのだ。  問題は、当の望月パセリはいま僕の目の前にいて、とっくに食べたいものを選び終えて暇なのか、僕の顔を見てにこにこ笑っていることなのである。 「あの、これ、ラインで返さなきゃだめ?」  パセリに訊いてみる。 「ううん。いい」  パセリは相変わらずにこにこ笑っている。 「ごめんね。俺、選ぶの遅いよね。昔から優柔不断で、なかなか決められないんだよ」  言い訳をする。つきあい始めてまだ二週間。 パセリも僕のことをあまり知らないだろうと思って。 そして僕も、パセリのことをよく知らない。  例えば、なんで目の前にいるひとに向けて、「どこにいますか?」なんてラインをするのか。最初はいたずらなのかと思ったけれど、こういうことはしょっちゅうあって、そのたびに正直戸惑う。
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