ノスタルジック イン ザ パーク

2/8
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
十一月♪日金曜日 私が送った弁明DMはようやく既読マークがついたけれど、華ちゃんの態度は昨日と変わらず。 (もうこうなったら、無理矢理にでも直接話をして誤解を解くしかない!) 昼休みにコンビニで買ったサンドイッチを食べながら、華ちゃんが拒否ろうが、今日の放課後にそうすると決めた。 だが、私のこの思惑は担任によって阻まれた。 よりによって放課後に、私は進路の件で呼び出されてしまったのだ。 可能な限りそれを早く切り上げ、走って教室へ戻ったものの、彼女は既に帰宅済みで。 私は失意とスクールバッグを抱え、ひとりとぼとぼと学校を後にするしかなかった。 『姫野(ひめの)、今どこ? 何してる? これから会える?』 『数学の宿題、明日朝イチで写させて!』 『今週の日曜に彼氏とデートなんだけど、前に遊んだ時に買ってたスカート貸してくんない?』 『明日暇?』 『おーい!笑』 力なく歩く私が握るスマホの画面に、送られてきたメッセージがポップアップで表示される。 うっすい関係の知人から友達まで、色んな奴らから次々と。 うざい。うざいうざいうざい! 本当うざい! 今は華ちゃん以外からの連絡なんていらないから! イライラしてスマホを投げ捨てたくなったが、我慢して電源を落とすにとどめ、コートのポケットへ突っ込んだ。 「はぁ……やんなる……」 学校を出てから約三十分後、私はブランコをこぎながら一人ごちる。 ブランコを止め、見上げた十一月上旬の十七時少し前の空は、後十分もしないうちに夜になる色をしていた。 真冬を間近に控えた、私以外誰もいない、住宅街の奥にある小さな公園は寒い。 コートを着ているとはいえ、今夜このままここで過ごしたら風邪をひくだろう。 そう分かっていても、家へ帰る気にはならなかった。 別に親とケンカをしているわけじゃない。そもそも今日、親は二人とも出張で帰ってこないし。 だから、帰りたくない理由が自宅にあるわけじゃないのだけど、まだここから動きたくなかった。 (小学校三・四年生くらいまでは、よくここで一緒に遊んだな。砂場で泥団子作ったり、逆上がりができない華ちゃんの練習につきあったり、ブランコ二人乗りしてみたり……) 彼女との思い出あふれるこの公園は、私の家からとても近い場所にあり、数年前まで君島家は我が姫野家のお隣さんだった。 中二の時、華ちゃん一家は少し離れた場所へ家を建てて引っ越してしまったから、今はもう違うけど。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!