ノスタルジック イン ザ パーク

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(保育園からのつきあいなのに、男関係で絶交だとかマジで泣きそう。しかも誤解でっていう) 彼女とは小学校中学年くらいまではお互いに「親友だよねー」と、言いあっていたくらいには仲良しだった。 けれど小学校高学年くらいから趣味嗜好が、私はギャル路線で華ちゃんが二次元オタク路線となり、やや疎遠になってしまった。 それでも引っ越すまでは私が寝坊しない限り、朝一緒に登校していたけど。 (華ちゃんが引っ越す時さびしくて、「行かないで!」なんて言ったなぁ。◎▽町への引っ越しだから転校せずにすんで、学校へ行けばいつも通りに会えるっていうのに) 君島家が去った隣家へはすぐに別家族が入居したのだが、今でもたまに、「戻ってきてくれないかな」と密かに思ったりしている。 (お隣同士じゃなくなっちゃったのもあって、「高校も絶対華ちゃんと同じとこに行くんだ!」って受験勉強頑張って合格して、高二で久しぶりに同じクラスになれて嬉しかったのに……どうしてこうなった?) スクールバッグを開け、中にある化粧ポーチを一瞥(いちべつ)し、バッグのファスナーを閉める。 化粧ポーチの内ポケットには、小二の時の夏祭りに華ちゃんとおそろいで買ってもらい、『親友の証』としたオモチャの指輪が入っている。 (偽物のルビーがはまったあの指輪、華ちゃんもまだ捨てずに持っててくれてるかな? ――って、いつまでも感傷にひたってる場合じゃないし! 誤解解かなきゃ!) 彼女の片思い相手であり、今何故か私もそいつに片思いしていると誤解を受けている『田久保』という男子とは、華ちゃん経由で知り合いになった。 彼女と田久保は高一の時同じクラスで、彼もまた二次元オタクだったことが切欠で仲良くなったのだ、と紹介を受けた時に説明された。 「ゲームがすごく上手なんだよ!」と、華ちゃんが彼の長所を教えてくれたが、今も昔も私は彼に興味がない。 女友達が九割な華ちゃんのレアな男友達――私がこの認識を改めたのは、夏休みに入る少し前。 もしかして? とは六月くらいには既にあやしく思っていたのだけど、一学期の期末テストが終わった日の帰り道、私は隣を歩く彼女へ思いきって訊いた。 「違ってたらごめんなんだけど……もしかして華ちゃんって、田久保のこと好き?」 首まで真っ赤にしながら片思いを認める彼女がハイパーキュートで、私は「その恋応援するよ!」と約束した。 夏休みの宿題を私の家で一緒にこなした後、私は彼女に化粧の仕方や、ヘアアイロンの使い方を教えてあげた。 といっても放任気味なうちとは違い、彼女の母親は「そういうことは大人になってから! 今は勉強に集中しなさい!」というタイプだから、おしゃれは我が家内でするのみにとどまったのだけど。 それでも彼女は喜んでくれたし、私も嬉しかった。
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