ノスタルジック イン ザ パーク

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(私が情報収集のために田久保へ話しかけたっていっても、片思いと勘違いさせるほど話しかけてはないと思うんだけどなぁ? 私基準で、知人以上友達以下の接し方だったんだけど……) ものすごく解せないが、現実に勘違いされているのだから、私が確実に何かヘマをやらかしたのだ。 (私が田久保を好きという誤解にどうつながるかは謎だけど……『やらかしてしまったかも?』と思う、後ろ暗いことはあるんだけどね……) 先月下旬、私の第六感が『お前、田久保に好かれたかもしれないぞ?』と、私へ告げた。 要は勘だから物的根拠はないのだけど、私はこれまでの経験からそれを信じ、次の瞬間から田久保の好み調査をやめ、彼との距離を大きくとった。 (誤解の原因はこれしか思い当たらないから、DMにも「調査のために話しかけすぎたかも」と打ったけど……。 でももう田久保へなるべく話しかけないようにしてから、一週間以上はたってんだよね。 となると、華ちゃんがキレるタイミングが変じゃない? 一週間、キレるの我慢してたのかな? うーんでもそれもおかしい気がするし……さっぱり分からん!!) 私はブランコに座ったまま鎖を掴んでのけ反り、ややしばらくその体勢を保った後で元の体勢へ身体を戻した時、誰かが――いや、華ちゃんが公園の入り口から入ってくるのを見た。 「何でスマホの電源切ってるの? 白雪ちゃんが既読スルーするから電話かけたのに、そっちもつながらないとかって……」 迷うことなく一直線に私の前へと歩いてきた華ちゃんは、非難がましい目で私を見下ろす。 「えっ、電話かけてくれてたの?! ……ごめん」 「全然連絡とれないから、少し心配した」 「それって私が、華ちゃんに絶交されたショックで自殺するかも? とかいう心配?」 「いや、そこまでは……。白雪ちゃん、陽キャでメンタル強いし」 確かに私はどちらかといえばポジティブだし、小さなことは気にしないタイプの人間だ。 しかし華ちゃんに対しては、かなりの豆腐メンタル。 だけどそれを隠し、「なぁんだ、ガッカリ! ぬか喜びさせないでよ」なんて言い、強がってみせる。 すると彼女は固い表情をゆるませ、気まずそうにあちこちへ視線をさ迷わせた後、くぐもった小さな声で言った。 「昨日の夜、もずみそさんに相談のってもらったの」 「『もずみそさん』って、華ちゃんとオタクつながりで仲良しな友達(ひと)、だっけ?」
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