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隣のブランコへ腰かけた華ちゃんは、昨夜もずみそさんと通話したやり取りを私に教えてくれた。
その通話の最中に、信頼しているオタ友である彼女に勧められ、華ちゃんはようやく私の弁明DMを読んだのだという。
『もずみそさんはこれ見てどう思いますか?』と、弁明DMのスクリーンショットを送られた彼女は言った。
『白雪ちゃんとやらが田久保君へ好き好きアピールしてる場面って、実際に見たことある? クラスメイトたちは、二人の関係をどういうものだと思っているぽい?』
『――ふーん、朝弱い白雪ちゃんは始業ギリギリ登校が多くて、田久保君とあなたは大抵余裕登校。
放課後は、漫研所属の二人は一緒に部活で、白雪ちゃんは家庭科部の幽霊部員で、街へ遊びに行っちゃう。
白雪ちゃんと田久保君がしゃべっているのを、休み時間に時々目撃していた――ですか。
……これさ、田久保君が優しいギャルの白雪ちゃんに夢見てるだけじゃないかな?』
『SNSでつながって、話しまくってるかもしれない? うーん……それはもう、白雪ちゃんにSNSの画面見せてもらうしか判断しようがないなぁ。
本当に誤解なら見せてくれるだろうし、そのためにもリアルで膝突きあわせて、話し合いをした方がいいと思うよ』
『悪口になるから先にゴメンと謝っておくけど……田久保君、ちょっとキモい。
君も白雪ちゃんのことが好きなら、君から告ったら? どうして白雪ちゃんからの告白待ちなの? と私は思っちゃうなぁ』
『話聞いた感じ、私の勝手な憶測だけど――たぶん田久保君が勘違いして、「美人のギャルとつきあえる千載一遇のチャンス!」と、はっちゃけちゃってるんじゃないかなぁって』
華ちゃんがもずみそさんとのやり取りをしゃべり終わるなり、私は「全部見ていいよ」と、電源をオンに戻した自分のスマホを彼女へ突きだした。
しかし彼女は首をゆるく左右にふり、受け取らなかった。
「もうそうやって、見てもいいよって渡そうとしてくるだけで、白雪ちゃんと彼がSNSでつながってないって分かるもん」
「本当に? 見なくていいの?」
「いいよ。もずみそさんに色々言われて、冷静になって考えてみたら確かにそうだなって思ったし、どう見ても白雪ちゃんは嘘ついてるように見えないし」
彼女は目を伏せて唇を白くなるほど噛んだ後、「白雪ちゃんのこと疑って誤解して、一方的にひどいことたくさん言って、本当にごめんなさい」と、ブランコへ座ったまま再度頭を下げた。
「誤解とけたのが一番嬉しいし、謝ってくれたからもういいし! 気にしないで!」
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